タイに移住すると、まず考えなければならないのが、「お金の管理をどうするか」という問題。日本の銀行口座だけでは不便なことが多く、現地通貨バーツでの取引が基本となるため、タイの銀行口座があると生活がずっと楽になります。
- 外国人でも口座は開設できるのか?
- どの銀行がいいのか?
といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
そこで今回は、タイの銀行事情から口座開設の方法、便利なサービスまで、実体験をもとにご紹介します。
なぜタイで銀行口座が必要なのか

「日本の口座で国際キャッシュカードを使えばいいんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、タイで銀行口座を持つことには、それだけじゃないメリットがたくさんあるんです。
・バーツでの支払いがとにかく楽!
家賃、光熱費、携帯代などの毎月の支払いを、タイの口座から引き落としや振込にできると本当に便利です。
・スマホ決済が当たり前に!
タイでは、銀行アプリを使ったQRコード決済(PromptPayなど)が普及しています。屋台の支払いもスマホでピッ! この便利さを享受できるのは大きいです。
・何かと必要になる場面も
コンドミニアムを買う時などに、タイの銀行口座が必要になることがあります。
日本人の利用が多いタイの銀行

タイにはたくさんの銀行がありますが、特に私たち日本人が利用することが多い、代表的な大手銀行をいくつかご紹介しますね。
バンコク銀行 | タイ最大手の銀行。支店やATMの数が多く、どこに行っても見かける安心感があります。スマホアプリからの海外送金は手数料が安く、これだけで開設するメリットがあります。 |
カシコン銀行 | 目印は緑色の看板。スマホアプリがタイの銀行で一番使いやすい!と評判です。 |
クルンシィアユタヤ銀行 | 黄色い銀行。日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のグループ会社です。プロンポンのエムクオーティエ支店は日本語対応で便利です。 |
サイアム商業銀行 | 紫色がテーマカラー。タイで一番古い銀行として知られています。富裕層向けの資産運用サービスやマルチカレンシー口座などにも力を入れています。 |
外国人の銀行口座開設

さて、皆さんが一番気になっているであろう、「外国人でもタイで銀行口座って作れるの?」という点について。
答えは、「条件さえクリアすれば作れます!」 です。
ただし、一昔とは異なり、誰でも簡単にというわけにはいきません。世界的なマネーロンダリング対策などの影響で、以前と比べると審査がかなり厳しくなっています。この点は、まず頭に入れておきましょう。
口座開設に必要な条件とは?
銀行や支店、その時の担当者によっても対応が違うことがあるのがタイ流…という側面もあるのですが、一般的に、外国人が口座を開設するための主な条件は、以下のポイントです。
・ちゃんとした「長期滞在ビザ」を持っていること
これが一番重要です
・開設できるビザ
就労ビザ(ノンイミグラントB)、リタイアメントビザ(ノンイミグラントO-A/O-X)、配偶者ビザ(ノンイミグラントO)、新しいLTRビザ、そしてタイランドエリートビザなど。
これらの「長期的にタイに滞在する意思がある」と見なされるビザを持っていることが、銀行にとっても安心材料になります。
・開設が難しいビザ
観光ビザや、ビザなし(ノービザ)での滞在では、基本的に口座開設はできません。 昔は運が良ければ…なんて話もあったかもしれませんが、今はまず無理だと考えてください。
・タイ国内の居住証明
これもすごく重要です。どんな書類が必要かというと、例えば自分の名前が入った賃貸契約書(原本)や、公共料金(電気代、水道代、ネット代など)の請求書や領収書(これも自分宛てのもの)、大使館で取得できる居住証明書などが一般的です。
・労働許可証(ワークパーミット)
タイで働いている証明になるワークパーミット。これがあれば、口座開設はグッとスムーズになります。
【最近の傾向とポイント】
・以前より審査が厳格化
提出する書類をしっかりチェックしたり、口座開設の目的を聞かれたりすることが増えているようです。
口座開設に必要な持ち物リスト

銀行に行く前に、これらのものを準備しておくとスムーズです。行く前に必ず電話などで支店に確認するようにしてください。
- パスポート(原本)
- 有効な長期滞在ビザ
- 労働許可証(ワークパーミット)(原本)
- タイの住所を証明する書類(原本)
- 納税者番号(必須ではないこともありますが、持っていると手続きが早くなる場合があります)
- デポジット(銀行によりますが、500〜1,000バーツ程度。)
開設できる口座の種類
主にこの3つですが、最初に作るのは、ほぼ「普通預金口座」です。
普通預金口座 (Saving Account) | 普段のお金の出し入れに使う、一番スタンダードな口座。 |
当座預金口座 (Current Account) | 小切手を使うための口座。ビジネスで使うことが多いです。 |
定期預金口座 (Fixed Deposit Account) | まとまったお金を預けて、普通預金より少し高い金利をもらうための口座。 |
タイ銀行の便利なサービス

タイの銀行は、日本の銀行より進んでいるかも?と思えるくらい、便利なサービスがたくさんあります。
ATM | 現金の出し入れはもちろん、振込や公共料金の支払いもできます。ただし、他の銀行のATMを使うと手数料がかかることが多いので注意しましょう。 タイのATMで現金を引き出すとき、現金が先に出て、その後にキャッシュカードが出てきます。日本ではカードが先で現金が後ですよね。そのためタイではキャッシュカードを取り忘れることが多発していますので、ご注意ください。 |
デビットカード | ATMカードがそのままデビットカードになっていることが多いです。VISAやMastercardのマークがあれば、世界中のお店で使えます(口座からすぐ引き落とし)。 |
モバイルバンキング | タイでは、銀行のスマホアプリ(モバイルバンキング)がとても便利!もうこれなしではタイ生活は送れないというほど、普及しています。 特にQRコード決済は、屋台やフードコートから高級店まで、ほぼすべてのシーンで利用できます。 |
日本との国際送金

日本とタイの間でお金を送りたい時もありますよね。日本からタイ、タイから日本ではおすすめの送金手段が異なります。
日本からタイへ
国際送金サービス(Wiseなど)
Wise (旧TransferWise) のような、ネットで完結する送金サービスを使うと、銀行よりずっと安い手数料で、しかも早く送金できることが多いです。日本からタイへの送金は、Wise一択と言えるでしょう。
タイから日本へ
国際送金サービス(Western Unionなど)
タイから日本への国際送金には、残念ながらまだWiseは対応していません。同様のサービスとしてWestern Unionがありますが、為替レートや手数料が高く、あまりオススメはできません。
バンコク銀行のスマホアプリ
バンコク銀行のスマホアプリから日本などへ国際送金ができます。為替レートや手数料も良心的で、タイから日本への送金は、2025年4月現在ではこの方法がオススメです。
どの銀行を選ぶのがいい? 銀行選びのヒント

便利さ重視なら
家や会社の近くに支店やATMが多い銀行(バンコク銀行など)は、やっぱり便利。
アプリ重視なら
K PLUS (カシコン銀行) や SCB EASY (サイアム商業銀行) など、アプリが使いやすいと評判の銀行を選ぶのも良い選択。毎日使うものだから大事ですよね。
日本語サポートが欲しいなら
アユタヤ銀行(Krungsri)の一部の支店や、バンコク銀行、カシコン銀行などには、日本語が話せるスタッフがいる支店や日本語コールセンターがあります。
特別なサービスが必要なら
富裕層向けのプライベートバンキングなどに興味があれば、SCBやバンコク銀行などが候補になるかもしれません。
安全に使うために!気をつけておきたいこと
便利な銀行サービスですが、安全に使うための注意点も忘れずに。
怪しいメール・SMSは無視!
銀行を名乗る偽の連絡で、個人情報を盗もうとする詐欺(フィッシング詐欺)が横行しています。「怪しいな」と思ったら絶対にクリックしたり、情報を入力したりしないでください。
ATM利用は慎重に
自分の後ろに不審な人がいないか、カード挿入口やキーパッドに怪しいものが付いていないか、念のため確認しましょう。
口座の動きはマメにチェック
たまにアプリや通帳で明細を見て、身に覚えのない引き落としがないか確認する習慣を。
まとめ:銀行口座はタイ生活に欠かせないパートナー
タイで銀行口座を作ることは、現地での生活をスムーズにスタートさせ、より快適にするための大切な一歩です。外国人にとっては、ビザの種類や必要書類など、ちょっとしたハードルがあるのは事実ですが、事前にしっかり情報を集めて準備すれば、心配しすぎることはありません。
特に、QR決済ができるようになれば、タイ生活の便利さを、存分に体験できるはずです。タイの銀行サービスを上手に活用して、あなたのタイライフをより豊かにしてくださいね!